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 「どういうこと?今のって…」
ユリスは同じように青年の背を見送る鴉――タキに尋ねた。
「魔法だよ、正真正銘の」
タキに代わってコウが答える。歩みは止めない。ユリスの足元に抜けない魔剣――イモートゥル・プロスペリティが転がっていた。
「ちょっと!剣を忘れてるわよ」
ユリスが剣を抱きかかえ、呼びかけると、コウは振り返らずに答えた。
「いらねぇ。もう充分役に立った」
『コウ、魔法が戻ったのか?』
耳の奥に相棒の少年の声が響く。コウは笑って答えた。
「そうみたいだな。確かに、お前が言う通り、あれは魔剣の一種だ、無限に体内魔法を増幅させる。器が壊れない限り、魔法が尽きることはない。…抜けないけどな」
抜けたらどれほどの威力を発揮するのか。考えるに、少しばかり寒気がする。どっちにしろ、今の事態を収拾するには充分なものをコウは得ていた。
「…そうか、貴様、魔法官か!」
ロードが、今度こそ驚愕に身を固めて叫んだ。それに対して、コウは嘲笑をこめて言い放つ。
「馬鹿か?そんなエリートが何でこんなところにいる?」
「…ひょっとして、あなた、魔法士なの?」
後ろからユリスが尋ねる声が聞こえた。
 この世界には日常的に魔法を使う人間が三種類いる。魔法使い、魔術士、そして魔法官。太古、この世界が創造された時、すべての人間は魔法を与えられたが、魔法を使いこなす力は平等には与えられなかった。同時に、魔法の量それ自体も平等ではない。よって、人間の中に、魔法に対する能力の差として大きく四つの階級に分けられた。普通の人間と、魔法が使える三種の人間に。
 魔法具を使い体内魔法を利用するのが魔法使い。魔法を扱う人間の中では、最も一般的であり、魔法具さえあればあらかたの人間がなれるものだ。警邏関係や金持ちの屋敷などの警備員には必ず一人か二人は配置されている。魔法具がなければただの人間と同じということと、体内魔法を激しく消費するために連続した魔法の使用が出来ないことが最大の欠点だ。
 「魔法具を利用しないで魔法を使えるのが魔術士だ」
コウは一歩一歩ロードに近づきながら語る。ロードはコウの歩みに合わせて、一歩二歩とあとずさる。
 「魔術士は魔法具の代わりに呪文を用いる。何百とある呪文が魔法具のそれぞれの役割を果たすってわけだ。魔法使いと違って、ある程度は魔法の制御が出来るから、連続の使用も可。呪文さえ覚えられればほとんど無敵だ。そうだろう?」
にやりと笑ってロードを見やる。ロードはこくこくと首を縦に振っていた。
「そうとも。貴様のような…こそ泥に――」
「負けるわけがないと言いたいのか?確かに、俺は『魔法官』じゃないが――」
じゃり。
玉砂利が音を奏でる。ロードまであと十歩程の距離まで近づいたとき、コウは立ち止まった。
 世の中には魔法使いとも魔術士とも違う方法で魔法を操る人間がいる。彼らは魔法具も呪文も必要ない。必要なのは、イメージ。己の望んだものを実現させるだけの強いイメージの力で魔法を発動させる。そんな人間たちの多くは宮廷で重宝され官として仕える。多くは近衛兵として、王族の傍近くに仕える。だから、めったに世間に現れるものではない。魔法官というその名前だけがその存在の証明となっているようなものだった。そして、そのような人間たちの中で、ごく少数の人間――宮廷に使え「官」とならなかった者たちは別の呼称があった。
「俗に言う『魔法士』って奴ではあるな…」
コウはユリスのほうを軽く振り返って言った。
 魔法士は「官」とならなかった、自分の意思のみで魔法を操ることの出来る者のことである。しっかりとしたイメージを構築できる者ほど強い魔法が使える。イメージの質にもよるが、ほとんど無敵と言っても過言ではない。
「魔法士だと?何故そんな奴がここに!?」
言いながら、それでもロードは後退りを止めない。コウはロードが小さく印を結ぶのを見逃さなかった。
「言ったろう?スポンサーがついてるんだよ。魔法じゃ飯は食えないからな…」
魔術士、魔法士は人間の中でも極端に数が少ない。出るところに出れば、食うに困る生活などとは無縁の生活も夢ではない。ロードはそれを知っていた。
――仕官しなかったのではなく、出来なかった?
ロードは思い当たる。そうに違いない。このような若造が真に魔法士であるはずがない。
「光よ射抜け!」
両手を目の前の青年に向けて叫ぶ。手のひらから無数の光が凄まじい勢いで飛び出していく。
「短系最強呪文か。だが、無駄だ」
ぼそりと呟いて、コウは軽く左手を前に出した。とたんに、ロードの放った光の矢が霧消する。
「こんなことも出来るぞ」
今度は両手をロードに向ける。コウは極悪な笑みで顔を輝かせる。それはまるで悪戯の名案を思いついた子どものような表情だった。
「浮かべ!」
「うっううあぁぁぁぁっぁ!」
コウが叫んだとたん、ロードの身体が宙に浮いた。そのままどんどん上へと昇っていく。イメージで魔法を操るといっても、その想像をより強固なものにするために、魔法士はしばしば言葉を発する。ゆっくりと、ロードを地面へと下ろしながらコウは笑う。
「そろそろ飽きてきたな。今までのお返しといくか」
「な、ななななんあなな…」
「ここはやっぱり…飛べ!光よ!」
かざした左手から、光の矢が放たれる。ロードへ向かって。ロードがコウたちを攻撃したまさにその光の矢が、今度はロードを襲っていた。
どっごおぉおおおおおんんんんんん。
今までで一番大きな爆発音が夜中のグリュニー邸にこだました。

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