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 「本当にいいのか?魔法なしで…」
「だーいじょうぶだろ?その何とかって剣を盗んでくるだけなら、こそ泥にだってできるからな。この俺の身体能力をもってすれば、魔法なしでも充分やれるさ」
二人はバルコニーの手すりに体を預けて言葉を交わす。
 二人に割り当てられたハンタ邸の一角にある部屋は先ほどの応接室ほどとはいかないまでも、二人には充分過ぎるほどの広さと豪華さを兼ね備えていた。この部屋からも広大な庭が見える。床から天井まで一面のガラスで張られた窓を開けると、白亜のバルコニーが夕陽を浴びて輝いていた。
 陽はすでに西に傾いている。仕事まであと3,4時間といったところか。日没後は魔法でも使わない限り辺りは闇に包まれる。街の窓から漏れ出る幽かな明かりと闇の狭間をターゲットの屋敷へと向かう算段だった。
 「ところで、原因はわかったのか?何か心当たりでも…」
タキがコウを見上げて聞いてきた。
「それが全然。今までは仕事中に魔法を使っても、魔法が使えなくなるなんて事はなかったからなぁ。それが俺としては強みだったし。魔法使いは一度魔法を使うとしばらく攻撃できないだろ?」
俺はそれが可能なんだなぁ――それどころではないというのに、自分の能力を自慢げに語る相方を見やりタキはため息をつく。
「魔法使いは魔法具を使うんだから当然だろう。それにしても、もし、警備の連中に魔法使いがいたら…」
「連続攻撃はできないんだから、百人、二百人でも魔法使いがいない限り、負けるなんて気はしないね」
にやりと口元に笑みを浮かべてコウは言った。あの少女がついて来るというのが気がかりではあったが、それは今は考えないことにする。
「それより、お前こそいいのか?なんか、あの子のこと知ってるような感じだったが…」
タキを見下ろし尋ねる。タキが彼女を苦手としていることは簡単にわかったが、彼女のような人物と、この口だけは生意気な相方が知り合いだというのが腑に落ちない。
「ん…ああ。まあな」
あからさまに言葉を濁してタキは俯く。
「お前のこと、知られたら、まずいんじゃないのか?」
「いや、それは別にかまわない。あいつがそういうことで動じるような奴じゃないってわかってるしな。むしろ、キャーとか言って、顔輝かせて騒ぎ出すぞ」
げんなりした様子でタキは言う。コウはタキを気遣ったつもりだったが、タキはその点に関しては何ら心配もしていないようだった。
「…本当に大丈夫なのか?」
しばらくの沈黙の後、タキが再び念を押すように聞いてきた。
「安心しろ。ちゃんと仕事は成功させるさ。お前はあのお転婆を何とかしておいてくれよ」
「…できるだけのことはな。…やっぱりお前、何か変なものでも拾って食ったんじゃないか?そうじゃなきゃ、魔法が消えるなんてことは…」
じとーっと睨まれてコウはむっとする。
「あのなー。いくらなんでも、そこまではしないぞ…ん?」
「なんか心当たりあるんだな?」
やっぱり、といった表情でタキがにじり寄る。
「い、いや。別に」
――そうだ、あれは別に関係ないはずだ…たぶん。
フルフルと首を振ってコウは強く否定した。ありえない。ものを拾い食いしたくらいで魔法が使えなくなるなんてことは。
「とにかく、完全に日が沈んで、準備ができたら決行だ。それまで俺はちょっと寝るから。じゃな!」
「あ、お、おい!」
まだ完全には疑いの眼差しを捨てきれない相方を残すように、コウはふかふかと柔らかすぎるベッドにもぐりこんだのだった。

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