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ねぇ、あなたは覚えてる?



「どうしたの?」
貴方が私に見せる表情はいつもそう。

少し首をかしげて、
私を覗き込んでくるような。
年上だからって、
まるっきり子ども扱い。
たった三つしか違わないのに。

そうやってあなたが私のことを見るたびに
胸がぎゅうってなるの、
貴方は知りもしないでしょう?


「ころんじゃったの」
瞳に涙を浮かべながら
ちょっとした膝の擦り傷を見せていた
私も私だけど。

「だいじょうぶ。僕の背中におぶさりなよ」
当たり前のことのように
背中を見せる貴方も貴方。
たった三つしか違わないのに。

近所のお兄ちゃんぶって。



私が貴方の背中を見るたびに
心臓の音が速く、大きくなってたの
貴方は知らないでしょう?



ほら、また


そこにいるのは
私の知らない
貴方の表情


一緒にいられたのは
小学校の時までだったね

いつの間にか貴方は
眼鏡をかけて

きっとたくさん勉強したんでしょう?
貴方なら
余裕で合格できるのに
高校受験頑張ったりして


近所のお兄ちゃんは
いつの間にか
お兄ちゃんじゃなくなってたよ



ほら、今日も
私の知らない
表情で


ボールを追いかけてる
すごい人たちに囲まれて
みんなは気がついてないけど



ねぇ、貴方は気づいてる?

私が何を考えているか
誰を想っているか
その眼鏡の奥で
「ずっと私を見てて」
って


もう、決めたの
もう、「子ども」じゃない
もう、「近所のお兄ちゃん」じゃない


ボールを追いかける貴方
その背中を追いかけてる



だって



私は知ってる
私だけは知ってる


いつもその背中を

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