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『ゴメンナサイ』
その言葉は、すべての感情も言えなくさせる器用で少し、
残酷な言葉。
けど、今のあたしにはこの言葉を言うしかできない気がする。
二人のはじまり 。。。11。。。 音のない世界
数日後。
あたしは
赤ちゃんを堕ろした。
あの日、
ママと藤田さんは
「産んでもいい」
て、何度も言ってくれた。
藤田さんは、本当にそういう気持ちで言ってくれてた。
だって、帰ってきたパパとママの目の前で、
『僕のことを許してくださるのであれば、覚悟はできてます』
って、普段は絶対『僕』なんて言わないのに、そう言って何度も頭を下げてくれた。
すごく、素直にその言葉、嬉しかったよ。
本当は手放しで喜びたいくらい。
けど、あたしには
やっぱり自信がなかったの。
まだ、親に頼りっきりの18歳で、何もできない子供で、
その子供であるあたしが子供を育てられないよ。
結局、あの『紙切れ』にサインしてもらった。
手術のことはよく覚えてなくて
「麻酔が効かないから泣かないで」
て看護師に何度言われたかな。
けど、あなたはもっと痛くて苦しかったよね?
自分の意思とは無関係に掻き回されて、
手術が終わったあとは痛みと悲しさと
愚かさと
色んなことがごちゃまぜになって
痛くて、苦しくて
あたしは冬休み前の登校日をすべて休んだ。
パパにはあの日からほとんど何も言われなかったけど、
けど一度だけ
「軽々しく男となんか付き合うからだ」
ポツリと呟かれたその言葉が
一番、悲しかったんだよ。
あたしは藤田さんと不真面目に付き合っていたつもりはないし、
少なくともパパが思ってるような遊びじゃなかった。
手術を受ける直前、
「俺は、一緒になりたいと思ってる」
丸椅子に座ったまま藤田さんが呟いたその言葉にどれだけの気持ちがあったのかは
最初、
わからなかったけど、
あの『紙切れ』には藤田さんの想いが込められいて、
それを知るのには少し時間がかかった。
今、
あなたの世界からは
何が見えますか?
何が聞こえますか?
意気地のないあたしで本当にごめんなさい。
もし、またあたしのもとに降りたってくれるのなら
その時は、
抱え切れないくらいの
『愛』で、
あなたを包んであげたい。
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