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怖いんだ。
二人のはじまり 。。。7。。。 人ヲ 愛スルコト
カシャン。
ライターの蓋を開けて、タバコに火をつける。
「・・・お前は、どこまで俺の過去を受け入れることができる?」
目の前で、向かい合うように座り込んでる美弥に聞く。
どうして、こいつはこんなに俺のそばにいたがるんだ。
こんなことまでされて、
こうすれば、離れていくと思ったのに。
正直、もう好きだの愛だのはうんざりだと思っていたんだ。
美弥の存在が、自分の中で変化していくのがわかるから、
これ以上の関係になると、
これ以上の感情を持ってしまうと、
別れが、怖いから。
「あたしは、藤田さんのことをわかりたいの」
ほら、また、その瞳で見る。
苦手なんだその顔は、
ガキみたいに純粋すぎて。
「どこまで?」
「あたしは、藤田さんのことが知りたいの」
「知って、何になる」
「わからない・・・けど、」
「けど?」
美弥が言葉を考えるようにして、自分の膝に置いた手を見つめている。
「ごめん・・・な」
こんな表情をさせているのは俺で、
どんな謝り方をしても足りなくて、
どうすればいいのかわからなくって、
「ぎゅうって、して欲しい」
美弥の口から紡がれる言葉に従うしかない。
遠慮がちに、
美弥の頬に触れて、
その長い髪ごと首に触れる。
そのまま、体を引き寄せて、
抱きしめる。
少し控えめな甘い香りがする。
「香水くさいよ、藤田さん」
ごめん。
「もう、ほかの人の香水の匂い、・・・つけてこないで」
本当にごめん。
「あたしには、まだわからないことが多いけど、藤田さんのそばにいたいの」
「それは、どういう感情で?」
同情ならいらない。
「藤田さんのこと、・・・愛してるから」
ホントは、離れて欲しくないのは俺のほうで、
いつまでも一緒にいたいのは俺のほうで。
だからこそ、別れのときが辛くなるのもわかっているから、
「もう、放さないで」
その言葉を信じたい。
けど、信じていいのか。
美弥の細くて折れそうな腕が、背中に回る。
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