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「シャワー浴びてくるわ」







そういって、藤田さんはベッドから出て行く。



少し眠たげに、欠伸を1度。







あたしは・・・というと、


まだ意識がしっかりしていなくて、









何度も寝返りを打つ。









部屋の中に見えるものも、


窓から見える風景も、



少しタバコの匂いがする部屋も、





体にまとわりつくシーツの匂いも、その感触さえも







すべてがいつも自分の部屋で迎える朝と違って、













違和感というか、









胸の奥が変な気持ちになる。



















もぞもぞとタオルケットを引きずったまま、窓のほうに近づく。




昨日の夜見たきれいな夜景は



少し霧で覆われた朝日になっていた。






























このときまでは、ずっと、こんな生活が続くと思っていたのは、







事実。


















愛されてるって、思ってた。






























  
  二人のはじまり 。。。2。。。     朝




























窓の前で、何をすることもなく、ぺたんと座り込んで、




空を眺める。







包まっていたタオルケットが、






少し肩から落ちて、寒いんだけど、










直す気にもなかなかなれなくて、







そのまま。



























「そんな格好でいたら、風邪、引くぞ」





知らない間に時間が過ぎていて、




気づけばあたしは窓に頭をつけて眠っていた。













シャワーを浴びたあとの藤田さんは少し、髪を湿らせたまま。


長い前髪が頬に張り付いている。








「・・・風邪引いたら、暖めてもらうから」




最初のころは、


「好き」


と、さえ言うことに抵抗があった自分もいつの間にかこんなことを言っている。






















ふわり。




















タオルケットが落ちた肩にじかに感じる藤田さんのぬくもり。






















人の温かさって、こんなに安らげるものなんだって、藤田さんに会って、初めて知った。


























「今日、学校じゃないのか?」













耳元でささやかれて、少し、現実に戻る。

















そうだけど、










「月曜日は嫌い」







会えるのは週末だけで、



普段はなかなか、会えないのがすごく、寂しい。













友達にだって、社会人の人と付き合ってる人はいるけど、










あたしほど、














あたしほど、














好きな人に会えないコはいなくて、





















寂しい。



























「コレ」










藤田さんの手が、



後ろからあたしの胸のとこまで伸びてきて、











膝に何かを落とす。

















「カギ?」





















「夜中なら、大抵いるから」













それは、来たいときに来ていいってサインですか?




















「うん」























心は言い知れぬ何かで満たされて、






このときは、









本当に、





















あなただけを見ていた。


でも、もしかしたら









ココロまでは見えてなかったのかもしれない。




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