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気づいていたんだけど、気づいていない振り、していたかったの。


















  二人のはじまり 。。。9。。。    異    変



































「美弥、久々に帰ってきたんだから朝ぐらいしっかり食べてよ」



あたしはテーブルの前で冷えてしまった朝食を見つめること15分。




ママが作ったご飯が嫌いとかそういうワケじゃないんだけど、






「食べたくない」



身体が、欲しいと思っていなくって。








冷めてしまったオムレツをフォークで突いたあと席を離れる。





「風邪?」



ママの冷たい手がおでこに触れる。





「熱はないみたいだけど」



食欲がないのはいつも。

昔から偏食の多いあたしにとってはいつものこと。





1食や2食抜くことは、正直当たり前。







「とりあえず、ガッコ行ってくるねぇ」



ソファーに置いてあった中身は空っぽの鞄を持って玄関に向かう。




「美弥、ママ、今日仕事で帰ってくるの遅いけど」



「泊まって来ないから、安心して」




ママの言いたいコトに見当はつく。





藤田さんはママにすごく信頼されてるけど、








パパはやっぱり、10も上の人と付き合って家にあまり帰らないあたしが気にかかるみたいで。











「あ、あとね美弥」



ローファーに片足突っかけたあたしにママがひらひらと紙を差し出す。




「昨日だったかな?担任の先生から進路最終希望票出してないの美弥だけって」




あ、忘れてた。






ママから紙を受け取って


ブレザーのポケットに突っ込む。
























まだ白紙の希望票。




進学するつもりはないし、…むしろ頭悪すぎて無理。




「永久就職にでもしたら?」




高橋くんが覗き込みながら笑う。







冗談じゃなくて本気でそうしたいよ。







「でもさ、12月にまだ白紙なんて」



本当に、終わってる。



何も考えてなさそうな友達だって、一応は決めてるみたいだし。

あたし一人って・・・・なんだか取り残されてるみたいで、間抜けで。







「ちょっと、保健室行くかな」

ちょうど、胃の辺りが痛くなってきたところだし、



教室には少し居づらくて、





ぺたぺたと踵を踏み潰した上靴で保健室に向かう。





「せんせぇ、胃薬~~」

「またなの、野坂さん」



きれいなお姐さんと言った感じの保健室の先生が、あたしの声で、もう準備してくれる胃薬。





「朝食、しっかり食べてる?」

「食欲なくって」



慣れたように錠剤を口に含むあたしと後ろで腰に手を当てて呆れてるセンセイ。



「しっかり食べてよ、身体の作られる時期なんだから」

そう言いながら、センセイはティーポットに湯を入れる。



あたしは次にどういうことがあるか見当もついてるし、座って、それを待つ。



「はい、ダージリンティー。これなら飲めるでしょ?」

ふわりと白い湯気を立てた紅茶があたしの元に運ばれる。



いつもなら、本当に大好きで飲めた。



「・・・・・」

「野坂さん?」



吐きそう。



「顔色、悪いけど」







「・・・・吐く」





言葉を言い切るかってぐらいであたしは保健室の洗面台で吐いていた。

ろくに食事を取ってないおかげで出てくるのは、

苦い胃液くらいしかないんだけど。





目の前のタオルで口を拭って、ヨタヨタとしているあたしの行為をセンセイは心配そうに見つめていて、





「野坂さん、・・・・生理、きちんときてる?」



今までにないくらい深刻なカオであたしの事を見てきた。





このとき、すでにあたしの生理は、3週間遅れていたんだ。




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